6月に入ると、北欧の国々ではすっかり夏モードに。
学校や企業の夏休みが6月に始まることもあり、人々の会話も夏の過ごし方が話題にのぼります。
暗く長い冬を過ごした北欧では、その反動か、日照時間の長くなる夏をとても楽しみにしています。
「サマーハウス」で過ごすことも、そのひとつ。

「夏の家=サマーハウス」と言っても、一部の人が所有する特別なものではなく、一般の人のほとんどが住居とは別に、森や湖の畔など自然の中に一軒家を所有しています。

北欧の夏を過ごす場所『サマーハウス』

最近はお洒落なサマーハウスを新しく建てる人もいますが、多くは代々受け継いできた古い家を親戚みんなで所有し管理しています。自宅から車で数十分の場所にサマーハウスがあることも珍しくありません。

⻑期夏季休暇だけでなく、気候のよい夏の間、週末や祝日などに何度もこのサマーハウスに通い、ガーデニングを楽しんだり、バーベキューをしたりして、沈まぬ太陽のもとでのんびりと過ごします。

北欧の夏を過ごす場所『サマーハウス』

サマーハウスの起源は、遡ること17世紀のスウェーデン、
功績を挙げた軍人に国がほぼ同じ間取りの戶建て住宅を分配したことに始まります。当時はそこを住居としていましたが、時が経つにつれて性能の低いその小屋は温暖な夏の間だけ使われるようになり、サマーハウスを所有する文化に発展したと言われています。

今でもその当時の古い建物を夏の家として使っている人が多く、
そのためお手洗いは外にあって汲み取り式、窓は一層ガラスなどというところも。⻑い冬の間に何度も通い、自分たちの手で改装を繰り返し大切に維持しています。ここでの時間を快適に過ごすためのあらゆる手段は怠りませんが、その古くて趣ある小屋を壊して全く新しく作り変えようとはせず、設備の行き届かない不自由さでさえ、一年を通して楽しみに変えているのです。

北欧の夏を過ごす場所『サマーハウス』

自然のなかで過ごす、原始的で野性的とも思える生活ですが
これがサマーハウスで過ごすことの醍醐味。

便利さに溢れた普段の生活から離れて、
人間が本来持っているような生物的感覚を取り戻すことが
心身ともにリフレッシュすることに繋がっているのかもしれません。